髪の毛の生え際にニキビがあって気になっている人はいないでしょうか。実のところ、これはM字型の薄毛の原因になりかねない症状の一つでもあるんです。髪の毛が生えている部分に近い皮膚の状態は、頭皮環境とも深い関係があります。こういった肌トラブルが起きてしまうのは皮脂の過剰分泌が原因です。薄毛や抜け毛を防ぐためにも、自覚症状があれば対処しましょう。
どうして髪の生え際にニキビができるの?まずは原因を知ろう
- ジヒドロテストステロンの増加
- 食生活
- ストレス
- 睡眠不足
- 皮脂の過剰分泌
まずは皮脂の過剰分泌による場合について考えてみましょう。そもそもおでこというのは顔の中でもニキビができやすいパーツです。若いころから悩まされてきた人も多いのではないでしょうか。元々皮脂というのは私たちの肌を守るためにある機能です。
過剰に紫外線を浴びたり、異物から私たちの肌を守るために備わっている、なくてはならないものです。適切な量の皮脂が分泌されることで肌の乾燥も防いでくれています。しかし、なんらかの原因で皮脂が異常に分泌されると、余分な皮脂は肌の上に浮き出て脂性のような状態になったり、頭皮であればギトギトの状態になってしまうのです。
本来ならなくてはならないはずの皮脂も、必要以上の量が分泌されると不必要なものになり、その上、肌の状態や頭皮環境を悪化させます。
ジヒドロテストステロンの増加
皮脂が過剰に分泌される原因はいくつかあります。一つは男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンの増加です。これは男性ホルモンの9割以上を占めているテストステロンと、酵素である5α-リダクターゼが結合してできるものなのですが、年齢を重ねるとジヒドロテストステロンが増えてしまうという研究結果があります。
ジヒドロテストステロンはテストステロンより強力な男性ホルモンとして知られています。年齢を重ねるとテストステロン自体が減少してしまうため、それを補うより強い男性ホルモンを補おうと体が反応してしまい、その結果皮脂分泌の原因ともなるジヒドロテストステロンが増加してしまうのです。
食生活
また食生活も大きな原因の一つです。現代人の食生活は50年前とは大きく様変わりしてしまいました。日本人はもともと野菜や魚などを中心とした食生活を送ってきていたのですが、欧米から入ってきた食文化に影響され、多くの肉や乳製品も摂取するようになりました。
これらから摂取することができる動物性たんぱく質は、もちろん生きていく上では欠かせないものですが、必要以上に摂取すると皮脂腺を発達させてしまい、過剰な皮脂を分泌してしまいます。また、脂っこいジャンクフードも皮脂に大きく影響します。
その上、今は食べたいと思ったときに大抵のものを食べることができます。時間に関係なく、食べたいものを食べることができるうえ、そういったものには添加物が多く含まれていたり、中性脂肪のもととなる成分が多く含まれているのです。
食生活が豊かになり、生活が便利になることはとてもいいことなのですが、それが原因で皮脂が多く分泌され、脂性肌になってしまう人が増えています。
ストレス
それから、ストレスも皮脂の過剰分泌の大きな原因の一つです。現代はストレス社会とも言われていますが、常に感じているストレスに対処するために、私たちの身体は男性ホルモンを作り出し、どんどん分泌していきます。男性ホルモンには皮脂を分泌させる働きがあるため、ストレスを感じれば感じるほど皮脂が余計に分泌されてしまうことにつながるのです。
睡眠不足
そして最後に睡眠不足も皮脂の過剰分泌の原因として挙げることができます。しっかりと睡眠をとることができずにいると、交感神経と副交感神経のスイッチングがうまくいかなくなり、自律神経失調症を招いてしまいます。自律神経が乱れると、交感神経が活発に働くのですが、この交感神経は男性ホルモンのアンドロゲンという物質をたくさん作りだします。このアンドロゲンは皮脂を分泌させる働きをもっているので、睡眠がきちんととれていないと、過剰な皮脂が分泌されてしまうことになるのです。
皮脂の過剰分泌
これらの原因で、おでこの生え際で皮脂が多く分泌されニキビを引き起こしてしまうことが考えられます。過剰に分泌された皮脂は、毛穴をふさぐため、炎症を起こしてさらに毛穴を詰まらせてしまう原因になります。
脂漏性皮膚炎
それと同時に皮脂の過剰な分泌によって引き起こされてしまう症状として「脂漏性湿疹」があります。これは別名脂漏性皮膚炎とも呼ばれるのですが、ニキビと間違われてしまう症状です。赤い小さなポツポツした湿疹ができるのが特徴で、アトピー性皮膚炎と間違われてしまうこともあります。原因は同じ皮脂なのですが、まったく違うものなので、脂漏性湿疹と気づかずに対処していると、余計症状を悪化させてしまう可能性も考えられます。
マラセチア真菌の増殖
この脂漏性湿疹の原因は一つではありませんが、大きな原因として考えられるのは人の常在菌であるマラセチアという真菌です。身体にもともとある菌なのですが、このマラセチアの大好物が皮脂なのです。
皮脂が過剰に分泌されると、このマラセチアが皮膚下で異常に増殖してしまい、肌に炎症を引き起こします。これはおでこにだけ出来るのではなく、皮脂が分泌されやすい部位にできやすく、皮脂の分泌が多い男性に多くみられる症状です。
赤いポツポツが多数できることもありますが、肌が乾燥してカサカサになってしまうので、アトピー性皮膚炎のように見えることもあります。マラセチア真菌が異常に繁殖して炎症を起こすと、毛穴をふさいでしまいます。この菌はカビの一種なので、ジメジメした環境が好きです。ですから、どちらかというと乾燥した冬よりもじめじめした梅雨の季節にかかりやすいといえます。
原因は過剰な皮脂の分泌
ニキビの場合でも脂漏性湿疹の場合でも、原因は過剰な皮脂の分泌です。過剰な皮脂の分泌が髪の生え際で起こると、毛が生えてくるはずの毛穴をふさぎ、髪の毛の正常な成長を妨げる原因にもなります。
また炎症が起きているところでも同じことが起きるので、髪の毛は正常に生えなくなります。そして過剰な皮脂はヘアサイクルの乱れを引き起こすので、髪の毛が太く成長する前に抜け落ちることも考えられるのです。
皮脂は私たちの身体に欠かせないものですが、必要以上の分泌によるいい影響はまったくありません。
じゃあどうやって生え際のニキビや脂漏性湿疹を防げばいいの?
どちらの場合も過剰な皮脂の分泌が原因ということがわかりました。ということは、とにかく必要以上の皮脂の分泌を避ける必要があります。
食生活の見直し
まずすぐにできることと言えば、食生活の見直しです。先ほども述べましたが、食生活の欧米化は過剰な皮脂分泌を誘発しています。油っぽいもの、肉類、乳製品の過剰な摂取は避けましょう。これらを過剰に摂取すると皮脂腺が欧米人並みに発達してしまい、皮脂を過剰に分泌するだけでなく、体臭・加齢臭がきつくなる原因にもなります。
それと同時に糖質の過剰摂取にも気を付けましょう。皮脂の主成分は実は余分な糖質で、糖質は炭水化物に多く含まれています。炭水化物は私たち日本人の主食であるお米の主成分でもありますが、これも過剰に摂取すれば皮脂の増加の原因となってしまうのです。最近では糖質オフのビールなども販売されていますが、お酒にも糖質は多く含まれています。
そして、糖質を代謝させるためにビタミンBが必要なのですが、同時にビタミンBには皮脂をコントロールする働きもあります。ただでさえ、食生活の乱れでビタミンBが不足している現代人が、ビタミンBを糖質の代謝に使用してしまうと皮脂をコントロールする働きがまったくできなくなってしまうのです。
ストレスの軽減
それからストレスの軽減や睡眠不足の改善にも努めましょう。とはいえ、ストレスは生きていれば日常的になんらかの形で感じてしまうものです。ただ、ストレスを自分なりの方法で発散することはできるのではないでしょうか。ストレスをまったく発散できずに感じ続けていれば、どんどん男性ホルモンが生成され、皮脂が分泌されてしまいます。上質な睡眠がとれていない場合も自律神経に異常をきたし、交感神経が優位に働いた結果、男性ホルモンの働きを活発にするため、皮脂が過剰に分泌されてしまい、炎症を起こしてしまいます。
皮脂の分泌を抑えるシャンプーや育毛剤の使用
これら、生活習慣の改善と同時に頭皮の皮脂の分泌を抑えるシャンプーや育毛剤の使用も効果的です。実はシャンプーの中には皮脂を誘発する次の成分が入っているものがあります。
- ラウレス硫酸ナトリウム
- ラウレス硫酸アンモニウム
- ラウリル硫酸ナトリウム
- ラウリル硫酸アンモニウム
今使っているシャンプーにこれらの成分が入っていたとしたら、すぐに使用をやめましょう。それから、逆に皮脂を洗い流しすぎても、過剰な皮脂分泌の原因となってしまいます。必要な皮脂を残し、頭皮環境を改善するのに効果があるといわれているシャンプーはアミノ酸系のシャンプーです。
また刺激が強いものではなく、無添加や天然素材を使用しているシャンプーを選ぶようにすると、より効果的です。そして、生え際を含めた頭皮環境をよくするためにも、しっかりとすすぎを行う習慣をつけましょう。いくら肌に優しく、効果的なものを使用していても洗い残しがあれば、それは頭皮環境の悪化へとつながります。
皮脂の分泌を防ぐことが頭皮環境の改善につながる
M字はげの直接的な原因ではありませんが、おでこにできるニキビや脂漏性湿疹は毛穴を詰まらせ、髪の毛の正常な成長を妨げてしまいます。それを防ぐためには過剰な皮脂の分泌を防ぐ必要があります。生活習慣や食生活の改善を試みたり、日ごろの頭皮ケアを改善して、男性ホルモンの分泌を抑えることが過剰な皮脂の分泌を抑えることになり、はげ防止にも繋がっていきます。