亜鉛は若はげにも効用があります。タンパク質の合成を助ける栄養素です。摂りすぎも問題があるので、必要量を覚えておく必要があります。吸収率も良くないので、他のサプリメントと併用しましょう。
亜鉛は薄毛対策に効果あり?
亜鉛は単体の金属の原子で、体内に微量ですが含まれる物質です。体重60kgの人は体内におよそ2gの亜鉛を含んでいると言われています。身体の健康のために必須のアミノ酸であり、補給は欠かせません。
1960年代にアジアで子供たちの成長の遅延や貧血、性機能の低下などの症状が見られ、亜鉛欠乏症であったことが報告されています。全身にわたって存在していて、さまざまな機能を発揮する物質です。髪の毛の健康にも深くかかわっており、たとえばタンパク質の合成に必須の物質です。
人間が口から食べたタンパク質は、一度分解されてから身体の一部を形成します。このとき亜鉛はタンパク質の立体構造を作るのに大きな役割を担っています。亜鉛の不足は骨の形成や血液の生産など、身体の部分を形成するのに大きくかかわっており、人間が自分で作り出すものである髪の毛の形成にもかかわります。
亜鉛が不足すると薄毛になるのは、こうした理由からです。髪の毛は、約90%がケラチンというタンパク質です。ケラチンは18種類のアミノ酸から作られる物質です。タンパク質の生成にかかわる亜鉛が不足すると、髪の毛の成長が遅れて薄毛の傾向が出てきます。
髪の毛はキューティクルというタンパク質の層で覆われており、キューティクルによって摩擦や紫外線などの外からの刺激に対抗していますが、亜鉛が不足するとキューティクルも足りなくなります。
亜鉛が抜け毛対策に良い理由
薄毛や抜け毛対策として用いられるサプリメントには必ずと言っていいほど亜鉛が配合されています。亜鉛サプリという単独のサプリメントも存在し、髪の毛だけでなく美肌や性機能アップなどに効果があります。
現在、若はげと呼ばれる若い人の禿げが増えていますが、これは食生活の変化も大きく影響していると見られます。亜鉛を多く含む食材は牡蠣や煮干し、イワシなどですが、こういったものを日常的に摂取するのは若い人にとって困難です。
日本はストレス社会と言われており、精神的なプレッシャーも高く、ますます若はげを増やす結果となっています。亜鉛はタンパク質を合成することによって薄毛予防にも役立ちますが、そこには至らない抜け毛の予防にもなります。
亜鉛の持つ大きな作用として5アルファ・リダクターゼの抑制があります。5アルファ・リダクターゼは、男性ホルモンであるテストステロンをDHTという物質に変換させる酵素です。DHTの発生はAGAと呼ばれる男性型脱毛症と深くかかわります。
亜鉛サプリなどで必須アミノ酸である亜鉛を摂取すると、この酵素の作用を弱めるため、抜け毛の対策としても非常に有効です。日常の食事だけでは摂取しにくい栄養素であるため、サプリメントの利用は効果的です。
亜鉛は過剰摂取しても逆効果
亜鉛サプリの利用は薄毛や抜け毛の対策に有効ですが、過剰摂取にならないよう充分な注意が必要です。サプリメントで補える栄養素のなかには、過剰摂取した分は排出するものもあり、いくら飲んでもあまり身体に悪影響が及ばないものもありますが、亜鉛はそうではありません。
亜鉛は足りなくなると、味覚障害や貧血を発症しますが、摂取しすぎると銅欠乏症を発症します。銅も微量ながら人体に存在する金属で、これも不足すると、貧血などの症状が出てきます。亜鉛は銅の吸収を阻害する一面もあり、亜鉛の過剰摂取で銅欠乏症を引き起こします。
銅欠乏症も抜け毛や薄毛の原因となります。亜鉛を摂れば良いだろうと思ってサプリなどで補っていると、摂りすぎになるので注意しましょう。亜鉛は足りなくてもいけないし、摂りすぎてもいけないという難しい栄養素と言えます。
一般的には、男性の1日の亜鉛摂取量は11mgが推奨されています。女性は8mgです。上限は男女ともに1日に40mgとなります。亜鉛を多く含む食材は牡蠣で100gあたり25.4mgを含みます。
貝類は全般的に亜鉛を多く含むので、たとえば牡蠣フライを食べた日は亜鉛サプリを飲むのを控えるなどしておくと良いでしょう。
亜鉛サプリメントをより良く吸収するには
若い人に広がっている「若はげ」ですが、これは食生活の改善によっても可能です。ただし、亜鉛の成分を含む食材は毎日食べられるようなものではないため、サプリメントで補うと良いでしょう。気をつけたいのは、亜鉛は吸収率のあまり良くないミネラル分ということです。サプリの形で摂取しても、吸収率の悪い人は30%程度しか体内に入っていかないという報告もあります。
亜鉛の吸収を助ける成分
亜鉛の吸収をしやすくするものとして、クエン酸が挙げられます。梅干しやレモンに多く含まれており、亜鉛や鉄、カルシウムといったミネラル分を包み込んで体内に取り入れやすい形にする効果があります。
また、ビタミンCも同様に亜鉛の吸収率を上げます。こういった成分が配合された栄養サプリと併用すると、効率的に亜鉛を摂取できます。アプリでなくても、肉や魚に含まれる動物性タンパク質も亜鉛の吸収率を上げます。
注意!亜鉛の吸収率を下げる成分
逆に、亜鉛の吸収率を下げてしまうものもあるので注意しましょう。代表的なのがコーヒーや紅茶に含まれるタンニンです。タンニンは亜鉛の吸収を妨げる作用があるので、たとえば食後にコーヒーを飲む習慣のある人は、少し時間を置いてから亜鉛のサプリメントを飲服用してみましょう。
また、インスタント食品に多く含まれるフィチン酸も亜鉛の体内への吸収を妨げます。
亜鉛だけでなく他のサプリと併用しよう
亜鉛は抜け毛や薄毛などの対策に適切な栄養素です。特にサプリメントの形にすると摂取しやすくなります。過剰摂取は逆効果なので注意しましょう。クエン酸やビタミンCとの併用がオススメです。