育毛効果があると謳われているサプリメントは、ドラッグストアや通販などどこででも目にするようになりました。育毛に有効な成分として色々なものが配合されているようです。
今日はAGAに対して効果を発揮する成分として研究が進んでいる「ノコギリヤシ」にスポットを当ててみたいと思います。
最近「ノコギリヤシ」は、育毛サプリに配合されている成分として耳にする機会も多くなってきました。ところでノコギリヤシと何のことかご存知でしょうか。なぜ育毛効果があるといわれているのでしょうか。
ノコギリヤシエキスを配合したサプリメントを摂取すれば、AGAに本当に効果を発揮するのでしょうか。この記事では、そんな点について検証してみたいと思います。
ノコギリヤシとは？
ノコギリヤシとはヤシ科の植物で、米国の南西部原産のとても長寿で丈夫な木です。葉っぱには鋭いとげが付いています。大きな赤黒い実をつけますが、この果実に薬効成分があるとされており、前立腺肥大症の予防や治療にも使われています。
昔から健康に良いとして民間療法でも使われてきたノコギリヤシですが、抜け毛や薄毛にも効果があるとして最近注目されているのはなぜでしょうか。
ノコギリヤシサプリは本当に育毛に効果がある？
男性型脱毛症AGAの主な原因は、「ジヒドロテストステロン」という強力な男性ホルモンが毛根に影響を与え、脱毛を促すことだと言われています。このホルモンは、男性ホルモン「テストステロン」が酵素の一種である「5αリダクターゼ」の働きによって変化したものです。
テストステロンは誰でも持っており、女性でも保有しているホルモンで、それ自体が抜け毛を引き起こすことはありません。しかし酵素と結びついて変化すると、AGAの原因となってしまうのです。
ノコギリヤシは「5αリダクターゼ」の働きを抑制する効果があるといわれており、この成分を配合したサプリメントを摂取すれば薄毛抜け毛を食い止めることができると期待されています。
頭皮の環境を改善することで薄毛抜け毛を予防する育毛シャンプーとは異なり、ノコギリヤシサプリメントはAGAの原因にダイレクトに作用するのでより効果が高いと言えるでしょう。
ノコギリヤシサプリには2種類ある！粉末タイプ＆オイルタイプ
ノコギリヤシサプリには2種類のタイプがあることをご存知でしょうか。タイプによって有効成分の含有量が異なるので、これはしっかり把握しておきたいポイントです。ノコギリヤシエキスには次の2種類があります。
- オイル状になっている「オイルタイプ」
- 粉末に加工されている「粉末タイプ」
そしてエキスに含まれる「脂肪酸」と「植物ステロール」という有効成分の含有量がそれぞれ異なります。どちらが粉末タイプでどちらがオイルタイプかは、サプリメントの形状で見分けることができます。
粉末タイプのものは錠剤、タブレットになっており、オイルタイプのものはソフトカプセルになっています。ノコギリヤシエキス配合のサプリとして多く見かけるのは粉末タイプの方です。しかしオイルタイプの方が有効成分は多く含有されています。
では粉末タイプとオイルタイプで、有効成分にどのくらいの差があるのでしょうか。
オイルタイプの有効成分は粉末タイプのなんと5倍！
ノコギリヤシ配合のサプリのうち、粉末タイプとオイルタイプで「脂肪酸」と「植物ステロール」の含有がどれくらい異なるかを調べた研究結果があります。その結果によると、オイルタイプの有効成分は粉末タイプの約5倍含有されているという数字が出ました。
具体的な数字を見てみましょう。粉末タイプのノコギリヤシサプリ5商品とオイルタイプのサプリ7商品の平均値を比較します。
粉末タイプの脂肪酸は179.6㎎、植物ステロールは0.42㎎でした。
一方、オイルタイプの脂肪酸は908.5㎎、植物ステロールは2.04㎎という結果です。
含有率を比較してみると、粉末タイプの脂肪酸が18％、植物ステロールは0.04％、
オイルタイプの脂肪酸は90.0％、植物ステロールは0.2％でした。
以上の数字を比較すると脂肪酸、植物ステロールどちらも有効成分の含有量はオイルタイプの方が約5倍という結果となりました。
では粉末タイプ、オイルタイプそれぞれ、1日どのくらいの量を摂取すると効果的なのでしょうか。
オイルタイプの1日の摂取量は320mgが目安。粉末タイプの目安は？
オイルタイプのノコギリヤシサプリは1日320㎎摂取すると効果があるという研究結果が出ています。その研究というのは、ノコギリヤシとフィナステリドの効果を比較した実験でした。
フィナステリドというのは、AGAの原因といわれている「ジヒドロテストステロン」が生成されないようにするもので、プロペシアというAGA専門治療薬の主成分として配合されているものです。
この実験ではAGA患者を2つのグループに分け、オイルタイプのノコギリヤシを毎日320㎎摂取、フィナステリドを毎日1㎎摂取した場合、2年間続けて飲み続けてどの程度の薄毛改善が見られたかを調査しました。
ノコギリヤシのグループは38％に改善が見られたとのこと。それで1日320㎎摂取というのが1つの目安になります。では粉末タイプのノコギリヤシサプリの場合、摂取量の目安はどのくらいなのでしょうか。
これに関しては、45%脂肪酸を含む640mgが良いという研究結果が出ています。この含有量を下回るものについては効果がないものもあるとのこと。サプリメントを購入する際には、よく有効成分の含有量を確かめるようにしましょう。
含有量が理想的なオススメのノコギリヤシサプリは？
少し値が張るサプリメントだからこそ、含有量も納得のいくものを選びたいものです。AGA改善に効果を発揮するオイルタイプのこの条件を満たしたサプリとして、大塚製薬が販売している「ネイチャーズリソース ノコギリヤシ」という商品があります。
1日あたり2粒飲むと、ちょうど320㎎摂取することができます。2017年現在の価格は1,490円で、60粒入っていますから、約1ヶ月飲むことが可能です。通販で人気があり、医学誌にも掲載されている「BOSTON（ボストン）」は、1日あたり3粒飲むと300㎎摂取することができます。
この商品は他の育毛サプリと比べると若干高めなのですが、含有量が高いのが人気の秘密です。BOSTONは1本7,380円（2017年現在）ですが、定期コースだと特別価格になります。1本定期コースだと12.2％オフ、3本定期コースで34.6％オフとなります。
また小林製薬の「ノコギリヤシEX」はサプリの中でも信頼度の高い商品です。中でも、原料となる成分をすべて公表しているというのは特筆すべきことです。ノコギリヤシの成分は320㎎となっており、納得の含有量です。価格は約30日分60粒入って2,700円となっています。
こちらの商品は前立腺肥大に効果のあるサプリとして紹介されていますので、薄毛抜け毛には効果がないのではないかと心配される方もおられるかもしれません。しかし実は、前立腺肥大とAGAの主要原因は同じで、両者とも「ジヒドロテストステロン」という強力な男性ホルモンの作用によって生じるものです。
それでその男性ホルモンを作り出す5αリダクターゼの働きを抑制するノコギリヤシはどちらにも効果があることになります。先程言及した実験では、2年間飲み続けた結果改善が見られたとのことですので、気長にケアしていく必要があります。
ノコギリヤシを摂取すると、どこに発毛作用がある？頭頂部それとも前頭部？
AGAの影響によって、薄毛抜け毛の症状が出てくる場所は人それぞれです。生え際やМ字部分の前頭部から始まる方もいれば、てっぺんやつむじなどの頭頂部から、さらには両方からという方など個人差があります。
ではノコギリヤシサプリを摂取すると、頭頂部、前頭部どちらの薄毛に効果を発揮するのでしょうか。先程ご紹介したフィナステリドとノコギリヤシの効能を比較した論文によると、薄毛改善効果が見られた部分はどこかに関して興味深い情報が公開されています。
それはノコギリヤシによる発毛作用は頭頂部のみであったのに対し、フィナステリドは頭頂部と前頭部にまで及んだという結果が出ているそうです。
育毛サプリ選びは慎重に
育毛効果があると言われているノコギリヤシについて、ご理解いただけたでしょうか。ノコギリヤシがAGAに対してなぜ効果を発揮するのか、その理論についてもご説明しました。
AGAの主な原因となっている男性ホルモン「ジヒドロテストステロン」が生成されないようにすれば、進行を食い止めることができます。そのためには5αリダクターゼという酵素の働きを抑制することがカギでした。
まさにその5αリダクターゼ酵素の働きを抑制するのが、ノコギリヤシエキスというわけです。主原因にダイレクトに作用してくれるので、薄毛改善に期待が高まります。ノコギリヤシサプリには2種類のタイプがあり、オイルタイプと粉末タイプがありました。
粉末タイプは生成の過程で有効成分が減ってしまうため、できるならオイルタイプのサプリメントを選ぶと良いでしょう。また含有量も効果を左右する大切な要素でした。オイルタイプであれば1日320㎎を、粉末タイプの場合は45％脂肪酸含有のものを1日640㎎摂取するのが理想的です。
巷にはたくさんの育毛サプリメントがあふれていますが、値が張るものだからこそ、成分をしっかりチェックして本当に効果を実感できるものを慎重に選ぶようにしましょう。薄毛はそのままにしておくとドンドン進行していきます。
自分に合ったケア対策を早いうちに行なうことで、進行を遅らせることができるでしょう。
