薄毛で悩んでいる方であれば、「毛根」というキーワードにピクリと反応してしまうのではないでしょうか?「毛根が死ぬ」なんて言われると、耳を塞ぎたくなる方もいるでしょう。ただ、毛根というのは実際に死んでしまうものです。
ただ、毛根が死ぬのは必然でもあります。もちろん、だからといって早死にさせていいわけではありません。ここでは、毛根の死やその原因、その期間について詳しくお話ししていきたいと思います。
そもそも毛根とは何か?
毛根という言葉自体は知っているものの、「じゃあ毛根ってどこにあるの?」と言われると答えられないという方も多いのではないでしょうか?毛根というのは、頭皮の下に埋まっている部分のことをまとめて指します。つまり、毛根というのはいくつかの器官から構成されているのです。
発毛を指令する毛乳頭、細胞分裂をして髪になっていく毛母細胞、髪と毛根をつなぐ毛根鞘といったものから毛根は構成されています。例えるのであれば、毛根という組織の中で毛乳頭さんや毛母細胞さんが働いているという感じです。毛根がないとこれらの器官は機能できませんし、これらの器官が機能しているからこそ毛根が存在できるのです。
ちなみに、毛乳頭や毛母細胞が髪と一緒に抜けるということはありません。髪が抜けたとき、根元にあるのは毛根鞘というものでこれが抜ける分には問題はありません。つまり、何かに引っかかって髪が抜けてしまったときに、それで毛根が死んでしまうということはないのです。
毛根は死ぬ?
髪が抜けたといった程度では毛根は死にません。ただ、持っているよりも簡単に毛根は死ぬものです。毛根が死ぬパターンというのは大きくわけてふたつで、ひとつは毛乳頭が破壊されてしまうこと、もうひとつは毛母細胞の分裂が止まることです。
毛乳頭の破壊に関しては、普通に生活している上ではまず起こらないと考えていいでしょう。ではどういうときに毛乳頭が破壊されてしまうのかというと、いわゆる脱毛施術です。脱毛施術にもいろいろなものがあるのですが、毛乳頭をレーザーなどで破壊することによって毛根を死滅させ、毛が生えてこないようにするのです。
一方で、毛母細胞の分裂が止まるというのは誰にでも起こり得ることです。というのも、細胞には分裂回数に上限があるのです。その上限に達すれば、それ以上細胞が分裂することはありません。毛母細胞が上限まで分裂を終えれば、それが毛根の死ということになるのです。
なぜ毛根が死んでしまうの?
先でもお話ししましたように、毛乳頭が破壊されたり、毛母細胞が上限まで分裂してしまったりすることによって毛根が死んでしまいます。では、なぜ毛乳頭が破壊されたり、毛母細胞が上限まで分裂してしまったりするのでしょうか?実は、これにもいろいろな理由があります。
ここでは、毛根が死んでしまう理由、つまり毛乳頭が破壊されたり、毛母細胞が上限まで分裂してしまったりする理由についてお話ししていきたいと思います。ちなみに、男女どちらにも言えることではあるのですが、女性よりも男性のほうが毛根は死滅しやすいと言われています。
男性ホルモンの影響
男性ホルモンの影響によって、毛母細胞の分裂が加速してしまうこともあります。もともと男性のほうが男性ホルモンが優位な状態にありますので、これは男性によくあるパターンと言えるでしょう。これがAGAとしてよく知られている男性型脱毛症でもあります。
男性ホルモンのひとつであるテストステロンというものが5αリダクターゼという酵素の働きで、ジヒドロテストステロンというものに変わってしまいます。このジヒドロテストステロンが毛乳頭に作用し、毛母細胞の分裂を加速させます。脱毛までのサイクルが早まりますので、抜け毛が増えて薄毛になってしまうのです。
短くて弱々しい抜け毛が多くなってきた、頭頂部や生え際から薄毛が進行しているという場合には、この男性型脱毛症を疑ったほうがいいでしょう。男性型脱毛症は進行していく一方で、自然治癒することはまずありません。だからこそ、治療が必要になります。
外傷
外傷によって毛乳頭が傷つくと、発毛における司令塔を失ってしまうことになります。その結果として、毛根が死滅するということもあるでしょう。頭部を怪我して頭皮の毛細血管が傷ついて、毛乳頭までしっかりと血液が行き届かなくなってしまっても同じように毛根が死滅してしまいます。
中には暴行を受けて頭皮を焼かれてしまった、火事で頭部をヤケドしてしまったという方もいるかもしれません。こういった形で毛根を死滅させてしまった場合には、植毛という選択をしていくことになるでしょう。ただ、将来的な再生医療に期待が持てる部分もあります。
血行不良
細胞に必要な栄養や酸素というのは、血液に乗って運ばれてくるものです。血行不良が起これば血液の流れが滞りますので、細胞が必要な栄養や酸素を受け取ることができなくなってしまいます。そうなってくると栄養失調のような形で毛根が死滅してしまいます。
この血行不良というものは、本当にいろいろなことがきっかけで起こります。ストレスはもちろん、睡眠不足や栄養不足、運動不足といったものでも起こります。今の時代はストレスも多いですし、ブルーライトの影響で睡眠の質も低下しやすく、食生活も偏りやすいです。それに現代人の多くが慢性的な運動不足に陥っています。
何をもって毛根が死んだと判断するの?
先でもお話ししましたように、毛乳頭というのは脱毛施術や外傷などがない限り破壊されることはないでしょう。つまり、一般的には毛母細胞の分裂が上限に達したことをもって毛根が死んだと判断するのです。ただ、毛母細胞の分裂が上限に達したと言ってもデスノートでの寿命や名前のように回数が目に見えるわけではりません。
つまり、実際の髪の状態から判断するしかないのです。もし、産毛すら生えていない状態が続いているということであれば、それはもう毛根が死滅していると考えていいかもしれません。ただ、死滅したと思っていたら実はまだ生きていたということもあります。
毛根が死ぬまでにはどれくらいの期間がかかるの?
ヘアサイクル・毛周期というものがあるのですが、髪はひとつのサイクルの中で抜けたり生えたりしていきます。そして、このサイクルを一生で40回から50回と繰り返すと言われています。細胞によって分裂の上限は違うものの、毛母細胞は50回ほどがその上限だと考えられます。
1回のサイクルは、通常の男性で2年から5年ほどの期間になります。女性だと少し長くなって4年から7年ほどの期間になります。ただ、年齢を重ねることによってサイクルは短くなっていくのです。
まとめ
薄毛で悩んでいる方にとって、「毛根が死ぬ」という表現は絶望的に聞こえるでしょう。しかしながら、毛根というのはいつか死ぬものなのです。ただ、なんらかの原因によって死ぬまでの期間が短くなってしまうことがあります。薄毛の方にとっては、これを防ぐことが重要なポイントになってくるのです。