女性の薄毛のメカニズム

女性の薄毛のミノキシジルは効く?

ミノキシジルは薄毛対策の有効成分として注目を集めている成分です。もともとは高血圧や動脈硬化の治療に用いられていたもので、抜け毛をもたらすメカニズムに介入することで脱毛を防ぐ働きが期待できます。もともと男性用の育毛剤によく配合されていたのですが、近年になって内服薬としても活用される機会が増えており、男女を問わず抜け毛対策の選択肢として注目される機会も増えているのです。

有効成分の名前です

育毛剤にはさまざまな有効成分が配合されています。発売元の各メーカーともより高い効果を、話題性を目指して続々と新成分を投入している状況ですが、そんな中でもとくに注目が高いのがミノキシジルです。おもに男性のAGA(男性型脱毛症)に対して改善効果が期待できると考えられており、その効果が期待されているのです。
この成分はもともと高血圧や動脈硬化といった病気の治療にために使用されていた成分です。それが治療や研究に用いられている過程で育毛にも効果が期待できることが明らかになったことで育毛剤への使用が進んでいきました。このあたりは前立腺ガン・前立腺肥大の治療に用いられていたフィナステリドがAGAの治療に用いられるようになった敬意と共通しています。
高血圧にしろ動脈硬化にしろ血行が滞ることが大きな原因です。加齢の影響で血管の柔軟性が失われてしまったり、血栓ができてしまったり、血液がドロドロになってしまったりといった要因で血液の流れが悪くなるとさまざまな影響を及ぼすようになるわけです。薄毛との関係では血管を通して栄養や酸素が毛根にまで届けられていることから流れが滞ることで発毛のサイクルに乱れが生じる点が大きな問題となっています。この成分は血管を拡張させることでこうした血行不良の症状を和らげる働きがあるため、抜け毛を防ぐ対策にも役立つのです。

ミノキシジルは男性ホルモンを抑制する効果がある?

このように血行を促す働きが抜け毛対策に非常に大きな意味をもっているわけですが、この成分にはもうひとつ、男性ホルモンと関与する働きも備わっているのではないか、という意見も近年になって出てきています。これまではもっぱら血行促進効果で注目を集めていた状況からさらに一歩踏み込んだ効果が期待されるようになっているのです。
男性ホルモンはAGAの直接の原因とも言われており、発毛のメカニズムを阻害する作用を持っています。男性ホルモン(テストステロン)が分泌されると体内で5αリダクターゼという酵素の働きによってジヒドロテストステロン(DHT)へと変換されるのですが、このDHTがヘアサイクルを阻害することでAGAをもたらすと考えられているのです。
もうちょっと具体的に見るとこのDHTが男性ホルモンレセプターに結合することでヘアサイクルを乱すのですが、ミノキシジルにはこの男性ホルモンレセプターが活性化されるのを防ぐ働きがあるというのです。
この男性ホルモンと5αリダクターゼがもたらすメカニズムを防ぐ成分といえば先ほど触れたフィナステリドが注目されているわけですが、この成分にも同様の効果が期待できるかもしれないのです。
ただし、現在でもまだはっきりとこの効果が明らかになったわけではなく、まだ研究段階です。そのためこの成分といえばやはりまず血行促進効果、それにプラスして薄毛のメカニズムそのものを防ぐ働きも備えているかもしれない、というわけです。そうなるとAGAの治療法として非常に魅力的な選択肢といえます。

FAGA(女性男性型脱毛症)にも効果がある?

こうした状況からFAGA(女性男性型脱毛症)の治療においてもこの成分が注目されるようになっています。FAGAとはもともと男性のみの症状だったはずのAGAが女性にも見られるようになったものです。もともと男性のみといわれていたのはやはり男性ホルモンが直接原因としてかかわっているからです。しかも遺伝的・体質的な面が大きな原因とされており、男性特有の脱毛症とされてきました。現在でもその位置づけは変わっていません。
しかし男性ホルモンは男性だけに分泌されているわけではなく、女性にも分泌されています。男性ほど量は多くないわけですが、それが抜け毛に影響を及ぼす可能性もあるわけです。しかもホルモン分泌は生活環境・健康状態と非常に密接なかかわりがあります。現代人はとくにストレスの影響でホルモン分泌が変化することが多く、心身の健康を害する大きな原因ともなっているのですが、女性の間で男性ホルモンが増加するケースも見られます。よくヒゲが生えてくる、すね毛が濃くなるなど「男性化」と呼ばれている現象も指摘されています。
このFAGAの場合、男性とは違い遺伝的・体質的な面が少ないため治療しやすい面があります。まずは男性ホルモンを増加させてしまっているストレスなどの生活習慣・健康面の問題を解決していくことが第一なのですが、プラス育毛剤やクリニックでの治療を取り入れることでより有効かつ効果的に改善していくことも可能です。
ただAGAの治療の定番、フィナステリドは男性のみの服用となっています。性欲減退をはじめとした副作用のリスクもあるので女性の使用には適さないのです。そのためなかなかよいアプローチで治療を行っていくことができなかったのですが、ミノキシジルが有効な改善方法として注目されるようになっています。血行不良を改善しつつ男性ホルモンを抑制することができるのですから一石二鳥、ストレスは血管を収縮させる作用があるだけに高い効果も期待できるというわけです。

ミノキシジル配合内服薬は医師の処方箋のもとで使用します

ただ注意したいのはこの成分が配合された育毛剤はもっぱら男性向けだということです。ですからFAGA対策にはあまり向いていない面もあるのです。また本格的にFAGAの治療を行っていこうというのならAGAと同様、医療機関・クリニックでの治療が必要でしょう。これらの機関ではこの成分を配合した内服薬を使った治療も用いられています。育毛剤に配合されて頭皮に浸透させるよりもこちらのほうが高い効果が期待できるわけですが、入手にはあくまで医師の処方箋が必要です。ドラッグストアでこの成分が配合された内服薬を購入して毎日の薄毛対策に使用するというわけにはいかないのです。
となるとどの医療機関・クリニックに通って治療を受けるかがひとつのポイントとなってきます。一度の処方で1ヶ月分程度をもらえるので毎月通院できる場所かどうかがまず第一。またAGAの治療を行っているところでもFAGAの治療に関してはあまりノウハウがないところもあるのでFAGAに関する優れた実績・評判を得ているかも大事なポイントとなってくるでしょう。

発毛促進効果が期待できるミノキシジル配合薬

内服薬の形で服用するこの成分の配合薬にはこのように体の内面から働きかけて血行促進や男性ホルモンの抑制といった効果が期待できます。さまざまな要因で乱れがちになってしまった発毛のメカニズム、ヘアサイクルを改善することで原因を根本から改善していけるのが最大の魅力でしょう。先述したように入手には医師の処方箋が必要なのが少しネックですが、その分医師の指導のもとで安全・効果的に治療を行っていくことができます。これまで育毛剤では十分な効果が得られなかった方には非常に魅力的な選択肢となるはずです。

女性用と男性用の配合薬では濃度に違いが

なお副作用のリスクがあること、男性に比べて男性ホルモンの分泌量が少ないといった理由から女性用のミノキシジル配合内服薬は濃度が低めになっています。その分効果が少々弱くなりますが、体への影響も少なくムリなく治療に用いていくことができるでしょう。

薄毛に悩んでいる女性の救世主?

男性のAGAの場合、フィナステリドが最後の切り札のような扱いを受けていますが、女性の場合はミノキシジルが思うように対策の効果が得られなかったときの救世主になりうる可能性を秘めているといえるでしょう。男性に比べて生活環境や健康状態が発毛環境に影響を及ぼすことも多いだけにこの成分だけに頼るのではなく幅広いアプローチで対策を行っていくことが大前提です。そのうえでこの成分をうまく活用してみてはいかがでしょうか。